Top / USP経営ハンドブック / 3.USPの事例

Melts in your mouth, not in your hands.

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砂糖でコーティングされた丸いチョコレート。M&Ms。
1941年から米国で販売を開始され、日本には1981年に上陸しました。

M&Mのキャッチコピーが、USPの最初と言われています。

  • Melts in your mouth, not in your hands.
  • お口でとろけて、手にとけない

創業者のフォレスト・マースが、戦争下のスペインで兵士たちが食べていた砂糖でコーティングされた粒状のチョコレートを見たことから、M&Msは始まりました。
宇宙食にも採用されたこのチョコレートを有名にしたのは、チョコレートを食べたことのある人なら誰でも実感できるキャッチコピーと、子供受けする親しみやすいキャラクターでした。

  • 手を汚さずに、手軽にどこででも食べられる。
  • 子供にも安心して食べさせることが出来る。

明確なメリットで母親たちの共感を得ると共に、子供たちの支持をも勝ち得たUSPは、まさにUSPのお手本と言えます。
フォレスト・マース以外にもスペインで同じチョコレートを見た人はたくさん居たはずですし、売られてもいたはずです。
言葉とキャラクターを巧みに使って命を吹き込んだ好例と言えるでしょう。

ちなみに1971年に日本で発売された明治製菓のマーブルチョコレートのキャッチコピーは「7つの色が揃ったチョコレート」でした。
1981年に日本に入ってきたM&Msでしたが、日本ではあまりメジャーではありません。
“お口でとろけて、手にとけない”マーブルチョコレートが既に圧倒的な認知を得ていたからです。
M&Msは「米国のマーブルチョコ」になってしまいました。
日本では有効なUSPにはなりませんでした。

We deliver hot, fresh pizza in 30 minutes or less or it's free

ホットでフレッシュなピザを30分以内にお届けします。もし30分以上かかったら、ピザの料金は頂きません

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ドミノ・ピザのあまりにも有名なこのUSPですが、残念ながら今は使われていません。
交通事故が多発したこと、真似をする業者が増えてきたことでUSPとして有効ではなくなったということです。
その結果、ドミノ・ピザのシェアは若干下がったと言われています。

しかし、ドミノ・ピザが宅配ピザという業種を認知させ食材の宅配という業態を一歩も二歩も進めた功績はもちろん、ピザ宅配業界のトップ企業としての地位はいささかも揺るいでいません。

30分以内に熱々のピザを届けていた宅配ピザは他にもあったようです。
早いと言っていた宅配ピザ業者は有ったでしょう。
出来るだけ早くと努力もしていたかもしれません。
しかし、早いでは満足度に個人差があります。

「30分」という具体的な数字を提示することで、クライアントの満足度のルールをドミノ・ピザ自身が作ってしまいました。

ドミノ・ピザはこのUSPを掲げ宣言することで、宅配ピザに対するクライアントの不満を巧みに捉えました。
USPとして掲げた約束を果たすためにドミノ・ピザはどれだけの苦労をし、実績を積み、ノウハウを蓄積したことでしょう。
ドミノ・ピザは各店舗の商圏を限定することで、効率的に独自のメッセージをクライアントに気づいていただくことに成功しました。

厨房機器や店舗の運営スタイル、メニューの選定、配送車やケース、店舗のデザイン等、USPを実現するためのさまざまな工夫が見られます。
1960年、アメリカのミシガン州イプシランティの学生街にオープンした「ドミニック」という小さなピザショップは、アメリカだけでなく、アジア、ヨーロッパ、オーストラリアなど世界中で親しまれ、現在50ヶ国に7,000店以上に拡大しています。

Thanks Heaven, Seven Eleven

セブン-イレブン いい気分!

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本家米国でも韻を踏んだ同じような意味合いのUSPを使っています。
この言葉だけでは、リズムの良い、面白い言い回しでしか無いように感じます。
ですが、1946年に米国でセブンイレブンという名前を使い始めた時代、1974年に日本の第一号店が出来た時代には、朝の7時から夜の11時まで営業している小売店はかなり珍しい存在でした。

当時の日本では「あくのじゅうじか(開くの10時か?)」と言われていたほど多くの小売店は10時に開くものでした。
「開いててよかった」という有名なコピーは、コンビニをひと言で、と聞かれたときに鈴木敏文氏がとっさに答えた文句だそうです。
「開いててよかった セブンイレブン いい気分!」という言葉は、当時の消費者の気持ちを代弁するものだったことでしょう。

つまり、セブンイレブンのUSPは、「Thanks Heaven, Seven Eleven」というソフトと、それを実現する営業形態というハードを、消費者に提示する「7-ELEVEn」という名称で繋いだ合わせ技だと言えます。

今では営業時間を延ばす店舗が増え、24時間営業の店舗も珍しくはありません。
それでもコンビニエンス(便利な)ストアとしてのセブンイレブンのイメージは今でも「セブンイレブン いい気分」であり続けています。
セブンイレブンも、そのイメージに応える店舗作りに日々尽力し続けています。

現金掛値無し

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三越の前身、三井越後屋は三井高利が江戸本町一丁目(現在の日本銀行辺り)の間口9尺(2.7m)の小さな借り店舗でスタートしました。

教科書にも出てくる有名な言葉、「現金掛値無し」「店前現金売り」、正札販売、店舗販売ですね。
当時は訪問販売、代金は後日の掛けが普通でした。
世界で初めて現金支払いを要求することで資金の回転を速くし、クライアントに店舗まで出向いてもらうことで経費を削減するなど効率的な経営を行うことで、良質な商品を安価で販売しました。

また、江戸町民からは正札(値札)を付けて値引きをしないという販売方法は公正で正直な態度として評価されました。
これまで呉服屋のターゲットは武士や富裕な商人でした。

越後屋はターゲットを一般の町人に絞り、衣類の仕立てサービスや、一反を単位として売っていたものを客の需要に応じて切り売りするなど、クライアントのベネフィットを上手くつかみ、大きな需要を掘り起こしました。

私が注目するのは、「現金掛値無し」というUSPを掲げアピールする広告です。
このUSPが江戸市民の目を奪ったのは、1683年に発行された引札、今で言うチラシです。
十返舎一九や滝沢馬琴、平賀源内たち超一流のコピーライターが腕をふるったとのこと。
看板や店内の柱にも「げんきんかけねなし」と大書されています。