Top / USP経営ハンドブック / 4.USP経営とは / 4.2.新しいカテゴリを創造する

1つのカテゴリで、圧倒的に価値があるのは「一番」です。

消費者が最も信頼し、最初に選ぶのは一番の商品やサービスです。
二番目以降は、一番との比較、あるいは代替でしかありません。

いち早くあなたのクライアントの記憶に飛び込み、一番になることが重要です。
一番になることで、利益率は上がり、経営は安定します。

クライアントが選択肢と見なす他社のことを競合と言います。
競合は、必ずしも同業であるとは限りません。
マクドナルドの競合は、子供連れの多い住宅地ではファミリーレストランかもしれません。
営業マンの多い都心部ではコーヒーショップかもしれません。
ボーナス商戦を戦う家電店の競合は旅行社かもしれません。

あらゆるカテゴリ、あらゆるターゲットは競合で溢れているように見えます。
ですから、自分が一番になれる新しいカテゴリを作らなければなりません。

消費者は新しい商品やブランドにはあまり興味を示しません。
しかし、新しいカテゴリには大いに興味を示します。

「彼を知り己を知れば百戦して危うからず」
孫子の有名な言葉ですが、孫子は「危うからず」と言っているのであって、「勝てる」とは言っていません。

「千里を行きて労せざる者は、無人の地を行けばなり。攻めて必ず取る者は、其の守らざる所を攻むればなり。守りて必ず固き者は、其の攻めざる所を守ればなり」
競合の居ないところを進み、競合が守っていないところを攻め、競合の攻めてこないところを守る、つまり戦わないことが大切だと孫子は言っています。

競合と戦って勝つのではなく、ユニークな提案をいち早く消費者にアピールすることで、競合の居ない、具体的で限定されたカテゴリを設定し、そこでいち早く1番になり、そのことを宣言することが大切です。

あなたが自信を持って取り組める、具体的で限定されたカテゴリを設定してください。
もちろん、同じようなカテゴリを設定してくる競争相手は出てくるでしょう。
しかし、先にUSPを宣言し、その地位を築いていれば、あなたの有利は揺らぎません。

カテゴリを設定する方法を4つご紹介します。

裏をかく

競合の強みの逆を自らの強みにする方法です。
競合と違うものであることをアピールし、アンチユーザーを掴みます。

最近の携帯電話は、非常に高機能で大変便利に使えます。というとちょっと苦笑いをされる方も多いのではないでしょうか。
その裏をかいたのが、2004年のツーカー簡単ケータイでした。
しかし、auも同様の端末を発売し、ツーカーはauに吸収されてしまいます。

絶対に真似が出来ない関係がマクドナルドに対するモスバーガーです。
モスバーガーは、非マクドナルドの代表としてマクドナルドとは別のカテゴリを作っています。

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再分化する

すでにあるカテゴリを独自の軸で区切り、新しいカテゴリとして一番手になるという方法です。 軸に対して経営資源を集中して投下することが出来るので、有利になります。

専門性をアピールできれば、消費者から別の新しいカテゴリとして認識します。
脳の手術をするとき、「外科医」と「脳外科医」のどちらに頼むでしょうか。
医師としての経験は外科医の方が長いとしても、脳外科医を選びます。

よく例に出されるのは、朝専用コーヒーです。
コーヒーを飲むとき、好奇心で「朝専用コーヒー」を買うことはあります。
「朝」特有の「スッキリしたい」「眠気を覚ましたい」と言ったニーズにフィットすると消費者が感じれば「あぁ、確かに朝専用だ!」と脳裏にインプットされ、リピーターから習慣になることもあります。

歯科医院に限ってホームページの制作を請け負っている人がいます。
彼は、歯科医院に機械や材料を売っている会社から相談を受けたことからこのビジネスを始めました。
営業はもちろん、写真撮影やヒアリングまで、その会社で行います。
医師とも普段から接していて信頼されていますし、なによりもその医院に入っている機材がよく分かっていますから、医院の特徴も理解しています。

通常は、ホームページ制作会社に制作を依頼すると、ヒアリングから始まって修正依頼やサポートまで医院側にも大変な負担が掛かります。
この方法ですと、普段から出入りしているわけですから、ほとんど負担を掛けることがありません。
歯科医院の業務内容はほぼ同じですから、仕組みさえ作っておけば非常に早く、安価にホームページを立ち上げることが出来ます。
リアルに営業をしている範囲ですから、遠方まで出向く必要もありません。

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創作する

新しいコンセプトで新規市場を創作するという方法もあります。

ヘンリー・フォードはこんな言葉を残しています。
「消費者に何が欲しいかを尋ねたら、もっと早い馬が欲しいと答えただろう」

消費者は自分が本当に欲しいものを理解していません。目の前に現れて初めて欲しいと感じます。

私が印象深く覚えているのは、マクドナルドに最初に行ったときのことです。
三宮国際会館前の店内に椅子が有りませんでした。
まだ子供だった私は「立って食べるのは行儀が悪いことだ」と躾けられていましたので、大変困ったことを覚えています。

しかし、いまやマクドナルドは私たちの生活を一変してしまいました。

よく例に出されるのはウォークマンです。
今まで室内で聞いていた音楽を外に持ち出すということは、今では成功事例なのでしょうが、当時はたいへんに勇気のいることだったでしょう。

「コンセプトを創作する」という方法はとても魅力的に見えるのでしょう。
派手な成功物語がたくさんある一方で、リスクの高い方法でもあります。
「まったく新しい」「特許商品で」とアピールする人がとても多いのですが、まったく新しいのであれば売れるかどうかはまったく分かりません。

このようなケースでは、次の3点が鍵になります。

コンセプトを如何にして理解していただくか
まず、既存のモノやコンセプトに関連付けなければ人は理解できません。
iPodは「グッバイMD」という言葉を使いました。
コンセプトを如何に早く多くの人に認知していただくか
人の目に触れる機会をたくさん作ることです。
ウォークマンも、販売当時はスタッフ自らヘッドフォンを付け、わざとらしく町に出て大学のキャンパスや繁華街を歩いたそうです。
コンセプトの価値を如何に感じていただくか
人は今までの経験に満足する傾向が有ります。
明らかに不便を感じているなど、余程のモチベーションがなければ新しいモノに飛びつきません。
消費者に体験していただいたり、マスコミで話題にしてもらったりして、消費者を教育しなければなりません。

ソニーの井深大は、「市場を創造(market creation)するには、市場を教育(market education)しなければならない」と仰っています。