顧客志向というと、「お客様は神様です」という言葉に代表されるように、とにかく下手に立ってクライアントの要望にお応えするようなイメージで語られることがあります。 「三越小僧読本」をご存じでしょうか。
日本で初めての総合百貨店、日本橋三越デパートを創設した日比翁助氏が明治40年(1907年)に三越の店員の心構えをまとめて従業員に配ったものです。
「そもそも御客本位といふは、御客様大明神のことなり、御客様一大事なり、御客様の御無理を御道理とするにあるなり」
このような顧客志向の考え方は100年前から有りました。
一方で、ホスピタリティとかパートナーシップと言った「クライアントとは対等な関係である」と言う方もいます。
どちらも一理あるようですが、今ひとつしっくりしないと感じていたところ、三越小僧読本にこんな言葉を見つけました。
| 御客様は子供の如し。余念なく子供衆と見よ。 三越の小僧はその御相手と思えば間違いなし。 いかなる難題も柳に風と受け、笹に雪とこたえ、在店中はいかにも楽しく愉快に、観覧娯楽に身も心も堝化するまでに仕向けざるべからず。 入店の折は家庭に不幸、煩悶、憤怒、不機嫌等のありたるのも店を出ずる際には、「あゝ是で気持ちがさっぱりした。三越で遊んだので心の底まで愉快になった」と思はすに至れば、三越の繁栄実に今日の比にあらざるべし。 これ小僧の心懸一つにて、御客様をかほど迄に思はしめ、延いて三越の盛大を至すとせば、三越の小僧たるもの、寸時も油断せず一々御客様の脈をとらぬまでに、親切、用意、慇懃、正直、機敏、あらゆる匙加減を用うべきなり。 |
「クライアントは子供の如し」という言葉は、とてもしっくり来ます。
自分を下げるのではなく、対等でもなく、もちろん尊大にもならない。
愛情を注ぎ、分かりやすく説明し、困っていたら助け、正しい方向に導く。
この関係は、親が子供と接する関係と似ています。
もう少し冷静な言葉を使うと、クライアントに対するリーダーシップでしょう。
正しいUSPを提示し、USPに合致した経営を行うことは、クライアントに正しい判断をしていただくことを助け、最大限の利益を得ていただくと共に、そのことを通してクライアントとの信頼関係を気付いていくことに他なりません。
と同時に、あなたの選んだカテゴリで他社の後塵を拝することなく、第一人者としてのリーダーシップを発揮することでもあります。