Top / USP経営ハンドブック / 6.USPを創る / 6.7.ベネフィット(価値)を決める

クライアントは、直接には商品やサービスを購入します。
しかし、実際には問題を解決したり、欲求を満たしたりするために商品やサービスを購入するのです。

コーラーを買う人は、泡の出る黒くて甘い液体を買っているのではありません。
「スカッとさわやか」にのどを潤したいという欲求の解決手段を買っています。
風邪薬が欲しい人は、なんだかよく分からない化学物質が欲しいわけではありません。

つまり、「モノが売れる」には、クライアントが「自分の欲求を満たすと感じる」ことが前提となります。
では、あなたの会社や商品、サービスとクライアントの欲求とをつなぐベネフィットを探ってみましょう。

angle.png

三大欲求

アルダファーという心理学者が発表したERG理論によると、人間の欲求にはExistence(生存)、Relatedness(他人との関係)、Growth(自己の成長)に分けられます。
経営コンサルタントの佐藤義典氏は、人間の三大欲求として分かりやすく整理しているのでご紹介します。

欲求の内容欲求の例
自己欲求自分の中で完結する心理的快楽もっと成長したい
自分の思う通り生きたい
達成感・充足感を得たい
ストレスを発散したい
自分へのご褒美
癒し・リラックス
社会欲求他人との関係における心理的快楽名誉・権力を得たい
見せびらかしたい
チヤホヤされたい
異性にもてたい
他人と楽しい時間を過ごしたい
生存欲求肉体的な快楽楽したい
おいしく食べたい
快適に過ごしたい
安全・健康

法人の場合を相手にする場合には、以下のようなことを考えて営業してみてはいかがでしょう。

【購入担当者】

生存欲求
仕事が楽になる。早く帰ることが出来る。
社会欲求
周囲に認められる。上司に褒められる。
自己欲求
自分のしたかった充足感のある仕事が出来る。

【会社】

生存欲求
売上げや利益が上がる。株価が上がる。競合に差を付けられる。
社会欲求
社会から認められる。ブランド価値が上がる。
自己欲求
会社の理念を実現できる。

これらの切り口から、あなたの商品やサービスが充足する欲求はなにかを書き出してみましょう。
また、より充足度を増すためにはどうすれば良いのかを考えてみましょう。

企業価値とお客様価値

あなたの会社、商品、サービスには、たくさんの価値があります。
それらの価値の中で、クライアントから直接見える価値、実感できる価値をお客様価値と呼びます。
言い換えると、お客様価値とは「この商品を買ったら何をしてくれるの?」というクライアントからの問いへの答えです。

お客様価値を一番よくご存じなのは、クライアント、特にヘビーユーザーと言われるような人たちです。
商品価値を拾い出すためによく使われるのが、コピープラットフォームです。

左側(企業価値)に商品やサービスの価値を書き出します。
次に、想定したクライアント像の気持ちになって、クライアントから見た価値を書き出します。
最後に、関連する企業価値とお客様価値を線で結び、キーワードに印を入れます。

customervalue.png

分かる・解る・判る

消費者指向の時代には、クライアントに「わかって」いただくことが「売れる」ことに繋がります。

柔道で相手に技を掛ける前に相手の重心を動かすことを「崩し」といいます。
崩された相手が、重心を元に戻そうとするところにスキが出来ます。
営業にも、クライアントの心の重心を動かす「崩し」が必要です。

「エッ?」「何それ?」
これは「分かる」。つまり他とは分けられた。他とは異なるプロポジション(提案)を認識した状態です。

この状態からクライアントは安定した状態に「戻ろう」とします。
ここで内容を説明できれば「解る」。つまりそれ自体の内容を分解し、全体として理解した状態です。

ここまでは、頭での理解。理性へのアプローチと言えます。
しかし、クライアントの意志決定を促し、行動に移していただくためには、最後の「判る」ということが必要です。

内容を自分ところまで引き寄せ、「腑に落ちる」。
この多分に感性的な過程で、初めてクライアントは動きます。
つまり、営業が成立するためには、最初の「崩し」から「理性へのアプローチ」「感性へのアプローチ」まで崩しきることが大切です。

benefit.png

クライアントの利用シーンをイメージする

クライアントが、あなたの商品やサービスを利用しているシーンをイメージしてください。
誰が、いつ、どこで、どのように使って、どんな良いことがあって、どんな気持ちになるのか。

ベネフィットは、常にそれを使う状況と無関係ではありません。
同じクライアントでも、おそらく複数のシーンがあるでしょう。
クライアント像が変わると、別の利用シーンがあるはずです。

シーンとベネフィットを一度に考えるのではなく、要素に分け、一つ一つ頭を切り換えながら書きだしていきます。
誰が(Person)、どんなシーンで(TPO)、について書きだしたら、ベネフィットを考えてみましょう。

ここでのコツは、「クライアントのつぶやき」を想像することです。
あくまでもベネフィットはクライアントが感じるものです。
そのことを忘れないでください。

すべての欄が埋まったら、評を全体的に見渡して、新しく思いついた項目を追加していきましょう。
最後に、各項目を整理し、要素を横に繋いでいきます。
思わぬ意表を突いた組み合わせを発見することがあります。
このようなときは、各要素の一貫性をチェックして見てください。

誰が
(Person)
いつ
(Time)
どこで
(Place)
どのように
(Occasion)
どう感じるか
(Benefit)




クライアントの反応を思い浮かべる

では、クライアントが初めてあなたの商品やサービスに触れたときに、どのような反応をするのか、イメージしてみましょう。
あなたの想定したクライアントになりきってください。
次の各項目について、クライアントが発する言葉を書いてみてください。
もちろん、口調や言葉使いまでちゃんとなりきってください。

知ったとき                             
気付いたとき
手に取ったとき
説明を見たとき
買ったとき
使ったとき
気に入ったとき
他人に話すとき

販売している現場に足を運んでよく観察してみましょう。
また、クライアント候補や実際に購入した方に実際に聞いてみることも大切です。